洋画タイトルを日本語にするのは大変

この間、ある映画を見たんだけど、英語のタイトルと日本語のタイトルが全然違うタイプの映画で、色々思った。

 

洋画のタイトルやポスターを日本バージョンに変えるとき、変だとか、ださくなってるとかよく言われたりするけど、しかたない事だと思う。

 

Maria Full of Grace

今回見たのはMaria full of Graceという映画だった。

いわゆるインディペンデント映画なんだけど、20個以上の賞をとった素晴らしい作品。

 

主人公のマリアは、コロンビアの田舎に住み、家と工場だけを往復している17歳の女の子。オーナーと喧嘩して仕事を辞めちゃうんだけど、妊娠してるし、家族では自分しか働いてないし、行き詰まってる。ある日、小さなきっかけから、麻薬をお腹に入れてアメリカまで運ぶ仕事をすることに決める。不良でもなんでもないんだけど、ただ貧しいから。

 

それでこの映画の日本語のタイトルは、「そして、一粒のひかり」。綺麗なタイトルだけど、英語の題名からは何も残っていない感じ。でもなぜそうなるのか?

 

 

その言葉が背景に持っているもの

例えば「Maria Full of Grace」をそのまま日本語にすると、「恵みに満ちたマリア」みたいな感じだけど、よくわからないよね。

実は「Maria Full of Grace」というのは聖書とかキリスト教でよく出てくるフレーズ。英語圏やヨーロッパでは多分ほとんどの人がわかる言葉だけど、日本ではあまりピンとくる人は少ないよね。聖歌「アヴェ・マリア」の歌詞にも出てくるよ。

 

マリアは貧しい女の子だけど、聖母マリアと同じ名前。お腹に子供もいる。それからGraceって上品、優しい、慈悲とかの意味があるけど、道徳心があるとか、神や運に守られてるとか、本当にたくさんの意味があって、ニュアンスが豊富な言葉。

実際に彼女は映画の中で、貧しい環境で育ったもかかわらず、ずるい気持ちもなく全然汚れていないし、そして多くのラッキーに恵まれている。

こんな雰囲気を、こんなに短い言葉の中でぜんぶ完壁に表現してくれるのがMaria Full of Grace」。

 

 

ジャケットデザインの問題

それからよくDVDパッケージやポスターも、日本版だと違うっていうことがあるよね。この映画もそう。

 

maria full of grace dvd - Google 検索

そして、ひと粒のひかり dvd - Google 検索

 

外国のは彼女が静かな表情で、何か白いものを上からもらっている。日本のは、女の子が何かを決心したような強い表情をしている。

 

このDVDジャケットの写真も実はすごくキリスト教に関連しているんだ。彼女が受け取ろうとしている白いボールみたいなのは、麻薬。ラテックス手袋の先に麻薬を詰めたものを飲み込んで運ぶんだね。

でもこの写真が何かイメージさせるかと言うと、キリスト教でミサの時に神父さんから小さなパンをもらうという習慣がある。「ホスチア」とか「サクラメンタルブレッド」とかいうんだけど、コインくらいの小さなパンを、こんな感じで口に入れてもらうんだ。

これも他の国ではわかるかもしれないけど、日本ではよくわからないし、それなら確かに、女の子が強く生き抜いているようなジャケットの方が、みんなの興味も誘うだろう。

 

 

英語は言葉遊びが多い

英語は韻を踏んだり、言葉で遊ぶことが本当に多いし、日本語は世界の中でも独特だから、それをうまく表現するのは難しいよね!

でもこの映画の中で、彼女が人生に希望の光を見つけていくようなところもあって、素敵な日本語題だと思うよ。

 

ちなみに「オデッセイ」は、実は日本語の題名で、英語のタイトルは「The Martian」、日本語にすると「火星人」だよ。それを「オデッセイ」っていう日本語題にしたのは、かっこいいなぁ!と思った。

 

 まあ僕はマット・デイモンが出てれば何でもすきなんだけどね!

 

じゃあ、また!